「朝10分+夜5分」方式を、サードレベル受講中の“基本生活リズム”にしてしまうのが一番いいと思います。
ポイントは、15分で勉強することではありません。
朝10分=問いを仕込む
日中=仕事をしながら観察する
夜5分=発見を回収する
この循環を毎日つくることです。
まず、この方式の全体像
これを繰り返します。
① 朝10分の具体的なやり方
朝は、次の4ステップだけです。
0~2分 昨日を思い出す
ノートを開いて、
「昨日、何か引っかかったことは?」
と考えます。
例えば、
- スタッフがなかなか動かなかった
- 会議が長引いた
- 患者・家族との調整が難しかった
- 看護師と看護補助者の連携がうまくいかなかった
- ベテランと若手で意見が違った
- 自分が介入したら問題が解決した
- 逆に、自分が介入したことでスタッフが動かなくなった
何でもいいです。
② 2~5分 「なぜ?」を1回だけ掘る
例えば、
「昨日、スタッフに仕事を頼んだのに動いてくれなかった」
とします。ここで、
なぜ?
と考えます。例えば、
仕事の目的を説明していなかった?
かもしれない。あるいは、
本人にとって優先順位が分からなかった?
かもしれない。あるいは、
そもそも役割が曖昧だった?
かもしれない。答えを出す必要はありません。仮説で十分です。
③ 5~8分 今日の「観察テーマ」を決める
ここが朝10分方式の核心です。例えば、
「今日は、スタッフが仕事を引き受けやすくなる条件を観察しよう」
と決める。すると勤務中、
「この頼み方だと動きやすそうだ」
「この人には目的を説明した方がいいな」
「この仕事は役割が曖昧だから、誰も動かないんだ」
などが見えてきます。
④ 8~10分 「今日の問い」を1行で書く
例えば、
今日の問い:スタッフが主体的に動くために必要な条件は何か?
これで終了です。10分以上やらない。ここが重要です。
では、実際のノートはどうするか?
A5程度のノートを1冊、
「サードレベル管理者ノート」
として使うことをおすすめします。毎日、これだけ書きます。
これだけです。
⑤ 勤務中は「観察者」になる
ここが非常に面白いところです。例えば今日の問いが、
「なぜスタッフは主体的に動けるのか?」
だったとします。
勤務中に、Aさんには、
「これお願いできますか?」
だけで頼んだ。Bさんには、
「今日、○○さんの退院があるので、○○をお願いしたいです」
と目的まで伝えた。すると、Bさんの方がスムーズに動いた。これだけで、
「目的を共有すると主体的に動きやすい?」
という仮説ができます。これが現状分析の材料です。
⑥ 夜5分で「発見を回収する」
帰宅後、勉強机に座ってください。でも、レポートを書いてはいけません。
たった5分。今日の問いを見ます。
「スタッフが主体的に動くために必要な条件は?」
そして、
今日何を見つけた?
と考えます。例えば、
・目的を伝えた方が動きが早かった
・役割が曖昧な仕事は動きにくかった
・任せた後に細かく口を出すと動きが止まった
この3つで終了です。
⑦ 夜5分では「反省」しない
これは意外に重要です。夜になると、
「今日もできなかった」
「もっと勉強しなきゃ」
となりがちです。それをやめます。
夜5分は、
「今日、自分は何を発見した?」
だけです。これは自己評価の時間ではなく、データ収集の時間です。
⑧ 1週間経ったら「週15分レビュー」
ここを追加すると、ものすごく効果が上がります。例えば日曜日に15分。
1週間分のノートを見ます。すると、
月曜日:
目的を伝えると動きやすい。
火曜日:
役割が曖昧だと動かない。
水曜日:
権限を渡すと主体性が出る。
木曜日:
失敗を責められる環境では新しいことをしない。
金曜日:
ベテランは「できない」のではなく「失敗したくない」と考えている可能性。
こうなってきます。そして、
「あれ?これは全部つながっているんじゃないか?」
となります。
⑨ そこから「仮説」を作る
例えば、
「スタッフの主体性が低い」のではなく、「主体的に行動できる権限と心理的安全性が十分に与えられていないのではないか」
という仮説ができます。ここまで来たら、かなり面白くなります。なぜなら、
「人の問題」から「組織の問題」へ変わったからです。
これがサードレベルの学びです。
⑩ さらに理論を当てる
ここで初めて理論を持ってきます。例えば、
「心理的安全性」
「リーダーシップ」
「組織文化」
「権限委譲」
など。すると、
「なるほど。自分が現場で感じていたことは、こういう理論で説明できるんだ」
となります。この瞬間が、看護管理者でかなり楽しいところです。
⑪ 例えば「身体拘束」がテーマだったら
朝の問いを、
「なぜ身体拘束を減らしたいと思っているのに、実際には減らせないのか?」
とします。勤務中に、
- どんな患者で拘束が行われるか
- 誰が判断しているか
- どんな不安があるか
- 代替策は何か
- 医師との関係は?
- 家族との関係は?
- 夜勤帯では何が起きる?
- スタッフは何を恐れている?
を観察する。夜に、
「夜勤帯では転倒への不安から拘束が選択されやすい」
とメモする。翌朝、
「転倒リスクへの不安を減らせば、拘束を減らせるのか?」
と新しい問いを立てる。こうして、
問い → 観察 → 発見 → 新しい問い が回り始めます。
⑫ 例えば「看護補助者との協働」なら
朝、
「看護師と看護補助者の間で、仕事の境界が曖昧なのはどこか?」
と決める。勤務中に、
「この仕事、誰がするのか毎回確認しているな」
という場面を見つける。夜、
「移送業務の責任範囲が曖昧」
と記録。翌朝、
「なぜ役割を明確にできていないのか?」
と問いを変える。すると、
業務分担表がない
↓
教育が統一されていない
↓
部署ごとにやり方が違う
↓
病院として標準化されていない
と掘れていく。これがそのままレポートの「原因分析」になります。
⑬ 「朝10分+夜5分」をレポートにつなげる方法
ここが最も重要です。1週間の記録を、先ほどの7日間レポート法に移します。
現状
夜のメモから事実を集める。
↓
理想
「本来どうあるべきか」を考える。
↓
ギャップ
現状と理想の差を整理。
↓
原因
朝の「なぜ?」を集める。
↓
課題
最も重要な原因を1つに絞る。
↓
対策
原因に対して介入する。
↓
評価
どうなったら改善したと言えるか決める。つまり、
毎日の15分が、最終的にレポートの材料になる
わけです。
⑭ ここで「やってはいけないこと」が3つあります
① 朝から30分以上やる
ダメです。「10分だから続く」が大切。
② 毎日完璧な文章を書く
不要です。単語でいい。
「役割曖昧」
「目的共有」
「権限」
「失敗への不安」
これだけでも十分。
③ 毎日レポートにつなげようとする
これも不要です。今日は、
「面白かった」
だけでもいい。1週間後に、
「あれ?この5つの出来事、全部同じところにつながっている」
となれば十分です。
⑮ 私なら、さらに「3色」で記録します
ノートに色を3つだけ使います。
黒=事実
「カンファレンス30分延長」
青=自分の解釈
「情報共有の目的が曖昧?」
赤=問い
「なぜカンファレンスが長くなる?」
これをやると、
事実 → 解釈 → 問い
が自然に分かれてきます。レポートを書くとき、この区別ができるのはかなり強いです。
⑯ 「吐きそうな日」の特別ルール
ここはぜひ決めておいてください。研修中には「今日は本当に無理」という日が必ずあります。そんな日は、
朝
今日の問い:なし
でいい。
夜
今日気づいたこと:疲れた
で終了。それでいいです。翌日復帰。
「毎日完璧に続ける」ではなく、「途切れても戻ってくる」ことをルールにしてください。
これは長期研修では非常に大切です。
最終的に目指す状態
3~4か月後、講義を聞いていると、
「あ、この話、うちの病棟の○○とつながる」
仕事をしていると、
「これ、○○理論で説明できるな」
レポート課題が出ると、
「このテーマなら、あのノートに材料がある」
となってくる。ここまで来たら、かなり楽になります。
私なら、あなたにはこの形をおすすめします
毎朝10分
①昨日の発見 2分
②「なぜ?」 3分
③今日の観察テーマ 3分
④今日の問いを1行 2分
↓
勤務中
問いを持って普通に仕事する
↓
毎晩5分
①何を見つけた?
②なぜそう思った?
③レポートにつながりそう?
↓
週末15分
1週間分を眺める
↓
レポート課題
現状 → 理想 → ギャップ → 原因 → 課題 → 対策 → 評価
そして、これを続ける最大のメリットは、「勉強時間を増やさなくても、学習量が増える」ことです。仕事をしている時間そのものが、「自部署を研究する時間」に変わるからです。研修を「120~180時間の勉強」と考えると、気が遠くなります。でも、
朝10分、問いを持つ。
日中、現場を見る。
夜5分、発見を残す。
と考えると、ずっと現実的です。そして何より、毎日少しずつ「管理者として物事を見る目」が育っていきます。これは、研修を修了した後にも残る、かなり大きな財産になると思います。
さあ、研修を新たな方法で乗り切ろう!Report-Go!